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2018年6月6日

映像圧縮技術 | just BEYOND, Cool H.264

 

H.264の次の技術 Cool H.264

昔MPEG2、今H.264(又はMPEG4)と言えばリアルタイム映像圧縮技術のことです。

映像圧縮技術の進歩により、最近はインターネットでも手軽に高品質の動画映像を利用出来るようになりました。勿論、他に沢山の技術や製品の進歩もあいまってではありますが、とは言え映像圧縮技術が占める役割はとても大きいものがあります。

現在の映像圧縮技術の最高峰はH.264という方式ですが、そろそろ次の技術H.265が普及するのも時間の問題と思います。⼀方、新しい映像圧縮技術を利用するには、新しい技術にあった新しい映像再生環境が必要になります。

つまり、プレーヤー装置やプレーヤーソフトを新しくする必要があるのです。新しい映像圧縮技術が開発されても、普及に時間がかかってしまうのはこのためです。

家庭用機器であれば、個人が買い換えれば事足りるのですが、実際のビジネスの現場では、現在利用している機器と新しい機器を混在して利用しなければならない期間が発生するため、普及に時間がかかる事になります。

リアルタイムに映像高圧縮サイズが最大1/10 しかも、コーデックに依存しない

この度CREWと沖電気工業は、とても高性能な映像圧縮技術を搭載した、SeeITクラウドに対応したAIカメラの製品化に成功致しました。

圧縮性能は、何と「1/10」です。しかもH.264の⽅式は変更せず、そのまま映像データのサイズ を最大1/10にする事ができます。次世代技術として注目されている H.265でも、実際の監視カメラで利用した場合、実力値としてはH.264の1/2程度と言われていますので、いかに高性能であるかがお解り頂けると思います。「方式をかえずに(非コーデック依存と言います。)圧縮出来る」という事は、新しい技術を導入する際の最大の問題であった「映像再生環境を変更する必要」が無いということです。従って現在利用している装置を何ら変更する事なく必要に応じて順次導入する事ができます。

近年のカメラの性能向上はめざましいものがあります。フルHDは言うに及ばず、4Kカメラや8Kカメラも登場しています。しかし高性能のカメラの問題は映像のデータ量です。

高精細になればなるほど映像データ量は飛躍的に増加します。監視カメラの分野では、この映像データ量の増加は録画用ハードディスクの容量を増加させ、ネットワークの帯域も大きくなるため、高価なネットワーク機器を使う必要があり、システム全体のコストを桁違いに押し上げてしまいます。

従って実際の運用で、画質を落としたり、フレーム数を減らすなどの工夫をしてコストを切り詰めて使わざるをえません。せっかく4K、8Kのようなハイエンドなカメラを導入しても、結局はVGA画質、5コマ/秒に設定を調整して使わざるをえないのが現状です。

しかし、もし映像デー タ量が1/10になり、映像フォーマットも変わらない事が実現できたとしたら・・システムを何ら変更することなく、自由に高画質カメラを導入出来るようになります。画質が向上することで視認性が高まり、監視業務はとても効率的になることでしょう。

フルHDの映像、15コマ/秒の画質があれば、大変理想的ですが、この場合映像データ量はビットレートで4Mbpsぐらいになります。ビットレートというのは映像データ量の単位ですが、中規模、大規模な監視カメラのシステムではビットレートは1Mbps以下が望ましいとされています。

1/10に映像を圧縮する事で、フルHDの理想画像のビットレート4Mbpsが512Kbps(0.5Mbps)になります。 512Kbpsであれば、設置基準を余裕をもってクリア出来るので、ネットワークの帯域を気にすることはなく自由に活用出来るようになります。

LTE携帯電話回線で、フルHD画像が使える

1/10圧縮を行う事で、フルHDの理想画像が512Kbpsに圧縮出来ると、携帯電話網のLTE回線での利用が可能となります。これまでLTE(4G)回線では出来なかった、携帯電話網経由での遠隔からの災害監視、商店街・通学路の監視等も、通信費用を抑えて実際に利用出来るようになりました。

1/10映像圧縮と映像分析が同時に利用出来る

エッジAIという言葉がブームになっています。 Deep Learningの台頭によりAIを使った映像・音声の認識や分析が高い精度で利用出来るようになってきました。

⼀方Deep Learningを利用するため には高速にグラフィック処理出来るコンピューターが必要です。このような高性能なコンピューターを個々に配置するのではコスト的に見合いませんので、現在はクラウドセンターに高速処理出来るコンピューターを配備し、カメラ映像をクラウドセンターに送って映像分析を行うのが⼀般的です。

このような構成により、個々に高性能なコンピューターを配備するコストは下がりますが、代わりに膨大な映像データをクラウドセンターに送信する必要があるため、通信費用がかさんでしまう新たな問題が発生しています。

この問題を解決するため、カメラ内に高速グラフィック処理が出来るコンピューターを内蔵し、カメラ内部で映像分析を行うことで、映像検知のリアルタイム性を向上させ、さらに通信コストも削減出来る技術の開発が進められています。このようにカメラなどの端末装置側で処理を⾏う、特にAI処理を行って映像分析の結果のデータのみをクラウドに送信して利用する技術を「エッジAI」とよんでいます。

CREWのAIカメラは業界でも最先端・最高性能のプロセッサ NVIDIA社のJetsonTX-1またはTX-2 を搭載した世界初のAIカメラです。とても能力の高いグラフック処理用プロセッサを内蔵していますので、Deep Learningによる映像のAI分析もカメラ内部で処理する事が可能です。

さらに、この度製品化に成功致しました1/10映像圧縮は、映像分析ソフトウェアと同時にカメラ内で実行する事が可能です。

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